遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す (二宮尊徳)

遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す

それ遠きをはかる者は百年のために
松杉の苗を植う
まして春植えて秋実る物においてをや
故に富有り
 
近くをはかる者は
春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
ただ眼前の利に迷うて蒔かずして取り
植えずして刈り取る事のみ眼につく
故に貧窮す

それ蒔かずして取り、植えずして刈る物は
眼前に利あるが如しと言えども
一度取るときは二度刈ることを得ず
蒔きて取り、植えて刈る者は歳々尽くることなし
故に無尽蔵と云うなり

仏に福聚海と云うもまた同じ

目先の利益に右往左往していては結局モノにはなりません。
種を蒔くことが如何に大切か、と言うこと。
目の前の利益を追いかけても、種を蒔いておかなければ次はないからです。

例えば、地方では反応が薄いけど東京ではそれなりに反応がある。
だから東京で・・・と言う考え方。
目先の利益だけを追うならそれも間違いではありません。

東京の方が人も情報も桁違いですので、どんなものでもそれなりにはモノになります。
つまり、100人に1人がYESと言うのと、10000人に100人がYESと言うのとでは、割合にすれば同じでもその影響力は違うということ。
ここが理解できていないと、いずれ足元をすくわれる事になります。

東京の流行り廃りは半年から1年かけて地方に伝播すると言われています。
いまはネットの時代なので、本当に良いモノであればもっと早く伝播するでしょう。
しかし、裾野を広げる種まきが出来て居なければ、地方にそのブームが来たときにビジネスとして成り立つだけのマスが地方にあるのかどうか。

つまり、ちゃんとした長期的な計画が無ければ、ブームが終わった時点でそのビジネスは終わってしまいます。
どんなビジネスでも、ブームで終わらせずビジネスとして確立させるためには、種まきが必要です。
もちろん、効率よく収穫するためには種を蒔くだけでなく、水をやったり肥料をまいたり、こまめに世話をする必要がありますが。

やはり、『遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す』のです。

私はそう思います。

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